アトピー性皮膚炎について
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う慢性的な皮膚炎(湿疹)です。皮膚の乾燥やバリア機能の低下といった皮膚の生理学的異常があるところに、何らかの刺激が加わったり、アレルギー反応が起こったりすることによって症状が現れると言われています。慢性的な疾患ですが、適切に治療を行うことで症状の緩和・寛解が望めます。
アトピー性皮膚炎の治療
アトピー性皮膚炎では、「症状がない」か、「症状があっても日常生活に支障が出ない程度で薬物療法が必要なくなる程度」か、もしくは「軽い症状は続くものの急激な悪化はほとんどなく悪化しても持続しない程度」を目指して治療を行います。
この程度の状態を維持できれば、日常生活においてかゆみを意識しない生活を送れるようになることが期待できます。
アトピー性皮膚炎の薬物療法
アトピー性皮膚炎は、遺伝的な素因の他、多くの内的要因、外的要因が絡み合って発症する疾患です。そのためこの疾患を根本的に治療できる薬は存在せず、基本的には対症療法を行うことになります。
使われる薬の一例
- ステロイド外用薬
- デルゴシチニブ軟膏
- タクロリムス軟膏
- ジファミラスト軟膏
- タピナロフ軟膏
- 各種保湿剤
- JAK阻害薬内服薬
- デュピルマブ等の生物学的製剤
中波紫外線療法
当院では、全身へ均等に皮膚治療に有効な中波紫外線(311±2nm)を照射できる、「ダブリン3シリーズ NeoLux」という機器を採用しております。この機器はフィリップス社製でナローバンドUVBランプ48本、もしくはUVAランプ24本/ナローバンドUVBランプ24本を使用しております。
ダブリン3シリーズ NeoLuxは、治療に必要な量の紫外線を、短時間で全身に均一に当てることが可能です。そのため、1回の治療にかかる時間が短縮され、高い効果を発揮できるようになりました。この治療では痛みを伴わないため、麻酔する必要はありません。皮膚へのダメージは少なく副作用として生じるのは軽い日焼け程度です。(皮膚がんの既往歴がある方や日光過敏症の方は、治療をお控え頂いております。)
アトピー性皮膚炎に対して行う中波紫外線療法は保険適用で実施できます。
じんましんについて
皮膚の一部に、しばらくすると消失する膨疹(赤みのある盛り上がり)が突然現れる疾患をじんましんと言います。かゆみを伴うことが多く、チクチクした感じや焼けるような感覚を伴うケースもあります。1つ1つのブツブツや赤みはほとんどの場合数十分から数時間以内(長くても24時間以内)に消失しますが、半日から1日程度持続するケースもあります。重い症状では消失してもすぐに新しい膨疹が生じることで、常に膨疹があるように見えるケースもありますが、基本的には一度出現した皮疹が何日も同じ場所に残る場合は、特殊なじんましん、あるいはじんましんではない可能性があります。特に、皮膚の色が茶色くなったり、表面がガサガサしたりポロポロと剥がれ落ちるようでしたら、じんましん以外の疾患であると考えられますので、そのままにせず一度当院までご相談下さい。
じんましんの治療
じんましんの治療においては、原因をみつけることはほとんどの場合不可能です。そのため、薬を用いた治療を行います。じんましんにも様々な種類がありますが、多くの場合、体の中の「ヒスタミン」という物質が原因で症状が生じます。そのため、じんましんの治療では、抗ヒスタミン薬もしくは抗ヒスタミン作用を持った抗アレルギー薬を用いてヒスタミンの作用を抑えます。疲労やストレスはじんましんを悪化させる一因となりやすいものです。
接触皮膚炎(かぶれ)について
接触性皮膚炎とは、肌に悪影響を与える物質に触れることで起こる湿疹のことです。湿疹というのは、外的・内的刺激によって現れるかゆみやヒリヒリ感を伴う可逆性の炎症反応です。紅斑(赤い斑)、丘疹(ぶつぶつ)、小水疱(水ぶくれ)などのジクジクとした皮膚から、慢性化した場合にはと苔癬化(ごわごわした皮膚)に至る皮膚疾患を総じてそのように呼びます。
接触皮膚炎(かぶれ)の治療
接触性皮膚炎の治療で、まず大切なのは他の湿疹(アトピー性皮膚炎など)と見分けることです。接触性皮膚炎であることがわかったら、原因となるアレルゲンや接触刺激因子を特定して取り除くことが特に重要になります。そのため、普段の生活のご様子を詳しくお聞きします。
- いつ、どこに症状が出たか
- 症状が良くなったり悪くなったりするかどうか、その時期
- 仕事や趣味について
- 使っている化粧品
- 家事の内容
- 家族に同じような症状がある人がいるか
- 飲んでいる薬
など
症状を和らげるために、主に効果の高いステロイドの塗り薬を使用します。